実質的支配者となるべき者の申告書
								
								◆ はじめに ◆
								
								2018年11月30日より、
								
株式会社・一般社団法人・一般財団法人の定款を、
									公証役場で認証してもらうのに、
								『
実質的支配者となるべき者の申告書』
								が必要になりました。
								
								
								
								
◆ 法的根拠◆
								
									公証人法施行規則 13条の4
										犯罪収益移転防止法 4条1項4号
										暴力団対策法 2条6号
										国際テロリスト財産凍結法 3条1項、4条1項
									
									
									
								
								◆ 趣旨 ◆
								
									法人の実質的支配者を把握することで、
									法人の透明性を高め、
																		マネーロンダリングやテロ資金供与などに、
									法人制度が悪用されるのを防止するためのものです。
									
									
									
								
								◆ 対象法人 ◆
								
									・株式会社
																					・一般社団法人
																					・一般財団法人
									
									
									※ 合同会社は、対象ではありません。
									
									
									
								
								◆ 実質的支配者とは? ◆
								
								
								◆ 定義 ◆
								
									実質的支配者とは、
									法人の事業経営を実質的に支配することが可能
																		となる関係にある個人のことです。
									
									
								
								◆ 判断基準 ◆
								
								株式会社の場合、実質的支配者の判断基準は、
								簡単にまとめると、次のようです。
								(犯罪収益移転防止法施行規則11条2項)
								
								
									
										| 
																								実質的支配者の判断基準 | 
									
										| (1)議決権の50%超を保有する人 | 
									
										| (2)議決権の25%超を保有する人 | 
									
										| (3)事業活動に支配的な影響力を有する人 | 
									
										| (4)代表取締役 | 
								
								
									上記を、(1)から順番にチェックして、
									該当すればその人が実質的支配者です。
									
									
								
								◆ 具体例 ◆
								
								発起人田中一郎と田中花子が、株式会社を設立予定。
								引受け株数は、以下の場合。
								
								
田中一郎 80株
									田中花子 20株
								
								
								まず、
一株一議決権の原則(会社法308条1項本文)により、
								次のように、読み替えます。
								
								
田中一郎 議決権80個 (80%)
									田中花子 議決権20個 (20%)
								
								それから、
(1)議決権50%超の人がいるか、見てみると、
								田中一郎が、80%なので該当しますね。
								
								よって、田中一郎が、実質的支配者です。
								
								
								※ 該当する人がいれば、それ以降の項目はチェックしません。
								
								
								
								
◆ 記入例 ◆
								
									行政書士が、株式会社の電子定款の作成代行
									をする場合の、記入例です。
									
									※ クリックで拡大します
									
									
									
									
									この記入例について、簡単に説明します。
									
								
								◆ 公証役場名 ◆
								
								ex. 
○○公証役場
								
								定款認証してもらう公証役場の名称を書きます。
								
								
								
◆ 公証人名 ◆
								
									ex. 法務太郎
									
									担当される公証人の氏名を書きます。
									
									
								
								◆ 商号 ◆
								
									ex. ABC株式会社
									
									設立する会社の名前を書きます。
									
									
								
								
									
										◆ 年月日 ◆
										
											ex. 令和元年6月1日
											
											申告書の作成日を書きます。
											
											
										
										
											
												◆ 嘱託人 ◆
												
													ex. 神戸市中央区下山手通2-13-3
														行政士郎
													
													
													ここは、少し分かり難いですね。
													
													まず、『嘱託(しょくたく)人』とは、頼む人という意味です。
													
													そして、公証人に定款認証(会社法30条1項)を頼む人は、
													電子定款と紙定款で異なります。
													
													
												
												◆ 電子定款の場合 ◆
												
												電子定款に電子署名した人が、
												公証人に定款認証して欲しいと頼みます。
												(公証人法62条の6第1項2号参照)
												
												なので、電子定款に電子署名した人、
												具体的には、
行政書士が、『嘱託人』になります。
												
												これは、実際に公証人に認証してもらった電子定款の認証文
												を見てもらえばわかります。
												次のようです。
												
												『
嘱託人は、この電磁的記録に記録された情報に
電子署名をしたことを
												自認する旨を本職の面前で陳述した。よって、これを認証する。』
												
												
												
◆ 紙定款の場合 ◆
												
													紙定款に署名または記名捺印した人が、
													公証人に定款認証して欲しいと頼みます。
													(公証人法62条の3第2項参照)
													
													なので、紙定款に署名または記名捺印した人、
													具体的には、発起人全員が、『嘱託人』になります。
													
													
												
												
													
														|  | 
																嘱託人 | 
													
														| 
																電子定款 | 
																																電子定款に電子署名した人(ex. 行政書士)
 | 
													
														| 
																紙定款 | 
																																紙定款に署名または記名捺印した人(ex.発起人全員)
 | 
												
												
													
												
											 
										 
										◆ 押印 ◆
										
											行政書士の職印を押すか、
											または、
											電子署名します。
											
											
											
										
										
											
												◆ 実質的支配者となるべき者の該当事由 ◆
												
													ex. (1)議決権50%超
													
													実質的支配者の判断基準に、どれを用いたのか。
													チェックマークを入れます。
													
													
												
												◆ 実質的支配者となるべき者の本人特定事項等 ◆
												
													実質的支配者が複数人いる場合は、
													その全員を記載します。
													
													
												
												◆住居 ◆
												ex. 西宮市社屋町8-9
													
													
												
												◆ 氏名 ◆
												ex. 田中一郎
													(たなかいちろう)
													
													
												
												◆ 国籍 ◆
												ex. 日本
													
													日本以外の場合は、『その他』に丸印をつけて、
													具体的な国名をカッコ内に書きます。
													
													
												
												◆ 性別 ◆
												ex. 男
													
													
												
												◆ 生年月日 ◆
												ex. 昭和50年1月1日
													
													
												
												◆ 議決権割合 ◆
												ex. 80%
												
												
議決権割合は、株式数の割合と、考えれば良いです。
												(∵一株一議決権の原則)
												
												
												
◆ 実質的支配者該当性の根拠資料 ◆
												ex. 定款
													
													
													『定款』に、各発起人の引受株数が記載されていれば、
														定款を根拠資料にできます。
													
													たとえば、次のようです。
												
												
													
														| 第27条 発起人の氏名,住所及び発起人が設立に際して引き受けた株式数は,次のとおりである。 
 兵庫県神戸市中央区下山手通10丁目9番8号 田中一郎 80株
 兵庫県神戸市中央区下山手通10丁目9番8号 田中花子 20株
 
 | 
												
												
													
													もし、定款に引受株数を記載せず、『発起人の同意書』に記載していれば、
													発起人の同意書が根拠資料になります。
													
													
												
												
													
													
														暴力団員や国際テロリストに該当するか、しないかを書きます。
														
														
														
													
													◆ 提出方法 ◆
													
														申告書の公証役場への提出方法は、複数あります。
														
													
													
														
															| 
																	提出方法 | 
														
															| 
																																		・メール送信 | 
														
															| 
																																		・FAX | 
														
															| 
																																		・郵送 | 
														
															| 
																																		・公証役場へ持参
 | 
													
													
														
														当事務所では、メール送信していますが、
														具体的には、次のようです。
														
														(1)申告書をA4の用紙に印刷。
														(2)下の実質的支配者に関する欄を、
														お客様にご記入いただく。
														(3)上の署名欄を、行政書士が記入。
														(4)その申告書を、スキャナで、PCに取り込み。
														(5)行政書士が電子署名。
														(6)公証役場へ、メールで送信。
														
														
														
													
													◆ 提出時期 ◆
													
														この申告書は、早めに提出して欲しいと公証役場から言われます。
														定款案をチェックしてもらう段階で、
														申告書も送って欲しいと言われたりします。
														なので、早めに作成することをお勧めします。
														
														
														
													
													◆ 合同会社は、不要 ◆
													
														合同会社を設立する場合は、
														『実質的支配者となるべき者の申告書』は、不要です。
														なぜなら、合同会社の定款は、そもそも公証人の認証が不要だからです。
														
														
														
													
													◆ 参考リンク ◆
													
														下記サイトで、パンフレットや書式を、
														ダウンロードできます。
														
														● 実質的支配者となるべき者の申告書(日本公証人連合会のHP)
														
														
														
														以下は、根拠法令などです。
														
															● 公証人法
															
															
															● 公証人法施行規則
															
															
															● 犯罪収益移転防止法
															
															
															● 暴力団対策法
															
															
															● 国際テロリスト財産凍結法
															
														
														
														
														
														次はどのページをご覧になりますか?
																
																
															
													
														
															
																
																	|  |  |  | 
																
																	| 
																			定款の条文を解説。初心者向け。
 | 
																			必要機材と手順を初心者向けに解説。
 | 
																			合同会社は、安いのが一番のメリット。
 
 | 
															
															
															
																
																	|  |  |  | 
																
																	| 
																			※ 現在のページ | 
																			日本全国の公証役場のホームページ・地図。
 | 
																																																															行政書士が作成します。安心してお任せ下さい。
 |