はじめての電子定款

電子定款が初めての方のために、
行政書士が、作成方法などを説明します。

◆ 電子定款とは？ ◆

電子定款（でんしていかん）とは、
電子ファイルで作られた定款のことです。

具体的には、PDFファイルで定款を作成し、
それに電子署名します。

昔は、紙で定款を作っていましたが、
今では、この電子定款が主流になっています。

◆ メリット ◆

なぜ電子定款が主流かというと、
印紙税4万円が不要になるからです。
これが、1番のメリットでもあります。

媒体	印紙税
紙の定款	4万円
電子定款	0円 (印紙税は不要）

※ 紙の定款は、印紙税4万円分を購入して、
定款に貼り付けます。

※ 電子定款は、印紙税が不要。
なぜなら、印紙税は、紙を対象にしているから。

◆ 必要機材◆

電子定款作成には、次のようなものが必要です。

必要機材	具体例	補足説明
ワープロソフト	WORD	約1万5千円 ※ 定番ソフト
	一太郎	（通常版） 約1万5千円 　 （優待版） 約8千円 ※ 日本語変換が秀逸
	libre office	無料 ※ 無料が嬉しい。 ただし、サポート無し。
PDF作成ソフト	Acrobat	スタンダード 約1万6千円 プロ 約1万8千円 ※ 1年利用の料金 ※ スタンダードとプロは、 どちらでもOK
	Sky PDF	約3万円 ※ マニュアルが分かり易い
電子証明書	マイナンバーカード	無料 ※ 一般の方向け。 ※ 発行に約1か月。 ※ ICカードリーダーが必要
	セコムパスポート	行政書士用　1万5120円 司法書士用　7,260円 ※ 専門家向け。 ※ 行政書士は2年、 司法書士は5年未満の料金 ※ 行政書士用は、発行まで 約2〜3週間。 ※ ICカードリーダー不要 なのが良い
ICカードリーダー	PaSoRi RC-S380 （ソニー）	約2〜3千円 ※ 非接触型 カードを近づけるだけでOK
	ACR39-NTTCom （NTTコミュニケーションズ）	約2〜3千円 ※ 接触型 カードを差込む必要あり

◆ ワープロソフト ◆

ワープロソフトは、定款案を作るのに使います。

ソフトは、どれでも構いません。
すでにお持ちのものがあれば、
それでOKです。

◆ PDF作成ソフト ◆

PDF作成ソフトは、定款案をPDFファイルに変換したり、
電子署名するのに使います。

◆ アクロバット ◆

最も使われてるのは、アドビ社のAcrobatです。
無料で配布されているAcrobat reader（閲覧専用）ではなく、
有料のAcrobat（作成・編集も可）が必要です。
※ マイナンバーカードを利用する場合

	電子定款の作成 （マイナンバーカードの場合）
Acrobat reader （無料）	×
Acrobat （有料）	〇

なお、有料のAcrobatには、スタンダードとプロがありますが、
どちらでも電子定款を作成できます。
スタンダードの方が、約2千円安いので、
おすすめ。

スタンダード	プロ

◆ Sky PDF ◆

SkyPDFは、
行政書士・司法書士などの専門家向けです。

・SkyPDF Professional 2016 for Legal　14,040円
・電子認証キットPRO　15,120円

上記2つのソフトをセットで使用します。
一方だけでは、電子定款を作成できません。
ご注意ください。



SkyPDF（株式会社リーガルのHP）

◆ 電子証明書 ◆

電子証明書は、本人確認のために必要です。
紙でいうと、印鑑証明書に相当するものですね。

媒体	本人確認
印鑑証明書 （紙）	〇
電子証明書 （電子データ）	〇

◆ マイナンバーカード ◆

一般の方の場合、
電子証明書は、マイナンバーカードになります。
なぜなら、マイナンバーカードは無料だからです。
ただし、発行に約1か月かかるので、
早めに取得した方が良いです。

役所の窓口のほか、ネットや郵送でも、交付申請できます。
ただし、受取は、必ず役所へ行く必要があるので、
注意してください。



マイナンバーカードの交付申請（公式サイト）

◆ セコムパスポート ◆

セコムパスポートは、
行政書士・司法書士などの専門家向けです。
こちらは、有料になります。




行政書士用セコムパスポート（公式HP）





司法書士用セコムパスポート（公式HP）

◆ ICカードリーダー ◆

◆ 必要な場合 ◆

マイナンバーカードを使用する場合は、
ICカードリーダーが必要です。
これは、カードに保管されている電子証明書を
パソコンに読み込むためです。

このICカードリーダーには、
接触型と非接触型があります。
マイナンバーカードに対応しているものであれば、
どちらでも、OKです。

タイプ	使い方	具体例
接触型	カードを、 本体の挿入口に差し込む。 ※ 表裏・前後を 逆にしないよう注意。
非接触型	カードを、 本体に近づけるだけでOK。 ※ こちらの方が、 値段は少し高いけど、便利。

◆ 不要な場合 ◆

なお、セコムパスポート（ダウンロードタイプ）は、
ICカードリーダーが、不要です。
なぜなら、常時パソコンに電子証明書（p12ファイル形式）
を保管してるからです。

◆ 作成手順◆

大まかな流れは、次のようです。

手順	必要なもの
（1）定款案の作成	ワープロソフト
（2）PDFに変換	PDF作成ソフト （ワープロソフトで代用可）
（3）電子署名	・PDF作成ソフト ・電子証明書 ・ICカードリーダー （マイナンバーカードの場合）
（4）公証役場で認証	申請用総合ソフト （無料）

◆ 定款案の作成 ◆

まず、ワープロソフトで、定款案を作成します。




公証役場や登記所が、定款のひな形を公開しているので、
それを参考にすると良いです。

公証役場のひな形（日本公証人連合会のHP）


登記所のひな形（法務局のHP）



定款の、初心者向け解説は、
当事務所の次のページをご覧ください。

定款の解説（初心者向け）

◆ PDFへの変換 ◆

次に、定款案をPDFファイルに変換します。
本来ならば、PDF作成ソフトを使うのですが、
最近のワープロソフトは、PDF変換機能もついてるので、
それを使う方が、楽ですね。

◆ 電子署名 ◆

ここが一番の山場です。
PDFファイルに、電子署名します。



まず、マイナンバーカードの場合は、
次の事前準備が必要です。

・利用者クライアントソフト（無料）のインストール


・PDF署名プラグイン（無料）のインストール


・ICカードリーダーとPCを、コードでつないで、
マイナンバーカードをセット
（ICカードリーダーが接触型の場合、
カードの表裏、前後を逆にしないように注意）



準備ができたら、いよいよ電子署名します。
アクロバットのバージョンにより、操作画面は少し異なりますが、
大まかに説明すると、次のようになります。

（1）ツールで、『電子署名』を選んでから、
定款の最終ページの、一番下の余白部分で、
署名したい場所をドラッグ。

（2）ダイアログが表示されるので、
『署名』をクリック。





（3）パスワードを、要求されます。




ここは、何のパスワードか迷いがちですが、
次のものを、入力してください。

	電子署名のパスワード
マイナンバーカード	暗証番号 （署名用電子証明書） ※ 役所で、マイナンバーカード作成時に、 記入した暗証番号です。
セコムパスポート	PINコード ※ セコムから送られくる書類に記載。 ダウンロード用のPINコードとは 異なるので、注意。

（4）これで、電子署名は完了です。

◆ 公証役場で認証 ◆

株式会社の電子定款は、
単にPDFファイルに電子署名しただけでは、ダメです。
公証役場で、認証してもらう必要があります。


公証役場の一覧


なお、合同会社は、公証役場での認証は不要です。
その分、手続きが簡単で、費用も安く済みます。

	公証役場で認証
株式会社	〇
合同会社	×

以下は、株式会社についての手続です。

まず、申請用総合ソフト（無料）を使って、
公証役場へ、電子定款をオンライン送信します。

申請用総合ソフト（法務省のHP）




それから、実際に公証役場へ赴いて、認証してもらいます。

この認証手続きが終わると、
ようやく電子定款が完成します。





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