戸籍謄本の見方
◆ 戸籍(こせき) ◆
戸籍とは、
生まれてから死亡するまでの身分関係
(出生・婚姻・離婚・養子縁組・死亡など)
を、記録しているものです。
◆ 戸籍謄本と戸籍抄本 ◆
戸籍を証明する書面には、
・戸籍謄本
・戸籍抄本
の
2種類あります。
種類
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記載される人
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戸籍謄本
(とうほん)
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戸籍の全員
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戸籍抄本
(しょうほん)
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一部の人のみ
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戸籍謄本は、
主に、相続手続きで利用されます。
誰が相続人か確定するためには、
家族構成などの、
詳細な情報が必要だからです。
戸籍抄本は、
資格の登録手続きなどで利用されます。
こちらは、プライバシー保護のため、
その手続きで、本当に必要な人についての、
情報のみ記載されます。
◆ 戸籍謄本のサンプル ◆
戸籍謄本には、戸籍に入っている全員が記載されます。
※ クリックで、拡大します。
上のサンプルについて、以下で解説します。
◆ 戸籍謄本に記載される人 ◆
戸籍謄本には、
戸籍に入っている
全員が記載されるのですが、
その『全員』の範囲が、
現在と昔とで、異なります。
時代
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戸籍謄本に記載される人
(全員の範囲)
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現在
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夫婦
同氏の子のみ
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昔
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一族全員
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◆ 現在の戸籍謄本 ◆
今、役所へ行って
最新の戸籍謄本を1通取得するとします。
その
戸籍謄本には、
夫婦と、同氏の子が記載されます。
サンプルで言うと、
田中太郎(夫)
田中花子(妻)
田中一郎(子)
田中次郎(子)
なので、もし、
孫・おじいちゃん・おばあちゃんがいても、
この戸籍謄本には、入りません。
◆ 昔の戸籍謄本 ◆
なお、昔の戸籍謄本には、
一族全員が記載されていました。
たとえば、
田中伝助(おじいちゃん)
田中春子(おばちゃん)
田中太郎(夫)
田中花子(妻)
田中一郎(子)
田中次郎(子)
田中レイナ(孫)
田中良夫(おじさん)
田中美奈子(おばさん)
このような感じで、
今よりもたくさんの人が
記載されています。
そのため、読み取りが今よりも難しいです。
◆ 筆頭者(ひっとうしゃ) ◆
ex. 田中太郎
◆ 筆頭者とは? ◆
戸籍謄本の一番最初に記載されている人
のことです。
戸籍謄本の記載順
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解説
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田中太郎
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← 筆頭者
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田中花子
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田中一郎
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田中次郎
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結婚の際に、氏を変えなかった人が『筆頭者』になります。
通常は、父親が多いです。
◆ 筆頭者が不明の場合 ◆
戸籍謄本の交付請求書には、
必ず、『筆頭者』を記入します。
では、 もし、『筆頭者』が分からなかったら?
住民票(本籍あり)を取得すればよいです。
そこに、筆頭者も記載されています。
◆ 筆頭者と世帯主の違い ◆
誤解されやすい点ですが、
『筆頭者』は、『世帯主』とは異なります。
筆頭者は、戸籍の一番最初の人で、
戸籍を探す手がかりになります。
世帯主は、その世帯の代表者で、
国民健康保険などの
納税義務を負います。
用語
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意味
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書類
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筆頭者
(ひっとうしゃ)
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戸籍の一番最初に記載される人
※ 戸籍を探す手がかりとしての機能があります。
なぜなら、戸籍は、『筆頭者』と『本籍』により、他と区別されるからです。 |
戸籍謄本
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世帯主
(せたいぬし)
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世帯の代表者
※ 世帯とは、住居・生計を同一にする集団です。
※ 世帯主は、その世帯全員の、国民健康保険などの納税義務を負います。ちなみに、筆頭者は、このような納税義務は負いません。
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住民票
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◆ 本籍(ほんせき) ◆
ex. 兵庫県神戸市中央区下山手通八丁目9番地
◆ 本籍とは? ◆
戸籍が置かれている場所のことです。
出生地が多いです。
でも、出生地でなくともよく、自由に決めることができます。
皇居や甲子園球場を、本籍にすることもできます。
本籍
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自由に決められる
・出生地
・実家
・新居
・皇居
・甲子園球場
など
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◆ 本籍が不明の場合 ◆
戸籍謄本の交付請求書には、
必ず、『本籍』を記入します。
では、 もし、『本籍』が分からなかったら?
住民票(本籍記載あり)を取得するとよいです。
そこに、本籍も記載されています。
◆ 本籍と住所の違い ◆
誤解されやすい点ですが、
『本籍』は、『住所』とは異なります。
本籍は、戸籍が置かれてる場所です。
必ずしも、住んでる場所ではありません。
住所は、住んでる場所です。
正確には、
住民登録している場所になります。
用語
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意味
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書類
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本籍
(ほんせき)
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戸籍が置かれている場所
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戸籍謄本
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住所
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住んでいる場所
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住民票
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◆ 戸籍事項欄 ◆
ex. 【改製日】
平成19年2月10日
【改製事由】
平成6年法務省令第51号附則第2条第1項による改製
戸籍事項欄には、この戸籍が作られた原因
が記載されています。
つまり、この戸籍は、
平成19年2月10日に作成された。
その原因は、平成6年の法改正。
…という事が分かります。
この改正は、戸籍のコンピュータ化でした。
それまで、紙で管理されていたのが、
電子データ化されました。
また、縦書きだったのが、横書きになりました。
◆ 身分事項欄 ◆
ex. 【名】 太郎
【生年月日】 昭和10年1月1日
【父】 田中伝助
【母】 田中キヨ
【続柄】 長男
:
【婚姻日】昭和40年4月1日
【配偶者氏名】佐藤花子
【従前戸籍】
兵庫県神戸市中央区下山手通八丁目9番地
田中伝助
身分事項欄には、
出生・婚姻・離婚・養子縁組・死亡など、
その人の出生〜死亡までの身分関係
が記載されています。
この欄から、次のことが分かります。
太郎は、
田中伝助(父)と田中キヨ(母)の間に生まれた。
誕生日は、昭和10年1月1日。
長男である。
:
昭和40年4月1日に、佐藤花子と結婚した。
この戸籍が作られる前は、
田中伝助を筆頭者とする戸籍に入っていた。
その戸籍の本籍は、
兵庫県神戸市中央区下山手通八丁目9番地。
なので、太郎について、
1つ前の戸籍謄本が欲しければ、
【筆頭者】
田中伝助
【
本籍】
兵庫県神戸市中央区下山手通八丁目9番地
と、交付申請書に記入して、
神戸市の区役所に請求することになります。
なお、身分事項欄の記載順は、
(1)筆頭者
(2)配偶者
(3)子供<出生順>
になります。
◆ 発行日 ◆
ex. 平成25年7月17日
一番最後に、
その戸籍謄本が発行された日
が記載されています。
提出先によっては、
戸籍謄本に期限を設けていることがあります。
たとえば、次のようです。
提出先
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期限
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三井住友銀行
(銀行預金の相続)
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発行日は、1年以内のもの |
登記所
(不動産の相続登記)
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発行日は、死亡日以後のもの |
税務署
(相続税の申告)
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発行日は、死亡日から10日経過後のもの |
三井住友銀行の場合、
2年前に取得した戸籍謄本では、
ダメと言われます。
なので、念のため、
提出先に期限があるのか、
確認しておいた方が良いです。
次はどのページをご覧になりますか?
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戸籍謄本の取得方法、料金などを、初心者向けに解説。
交付請求書の記入例もあります。 |
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戸籍抄本(しょうほん)は、一部の人のみ記載されます。
その見方を、初心者向けに解説。 |
|
相続関係説明図に、登記官の認証文言を付与したものです。信用性が高いので、この書類を提出すれば、戸籍謄本は提出せずに済みます。 |
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行政書士が、戸籍謄本の取得を代行します。
相続手続きなどでお困りの場合に、ご利用ください。
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